【会員リレートーク】007 - 梅元 建治さん
« 【セミナー・イベント】新春訪問セミナーのご案内 | メイン | 【食コラム】収穫祭、ほんとうの旬とは »
2008年11月04日

拝啓 牧井さま 食の学校会員の皆さま
気がつけば、11月、目前。
すっかり冬篭りならぬ、秋まつりごもりしていた長崎の梅元です。
福岡の牧井さんからのご指名、本当にありがとうございます。
梅元は長崎・茂木にて、兄弟で人工的な添加物を使用しない、自分たちも食べたいと思うひものをつくっています。
今回は、これまで、地域の港町・茂木の漁師さんや地域の方々といっしょに実践している最近の活動を、現在進行形動で、ちょうどまとめていましたので、その活動内容を皆さんに共有させて頂きます。
まとめたものは、今週末開催される、全国漁業者交流大会長崎県大会にて、長崎市茂木漁協青壮年部プロジェクトチームの一人として梅元が発表することになっています。(今ではすっかり、漁業者の皆さんの一員です。)以下、ちょっと恥ずかしいのですが、発表原稿を共有いたします。
=======================================
「もったいない活動」で地域を活かす!
―地域の連携力で地域の活性化を図る―
皆さんこんにちは、私は長崎市茂木漁協青壮年部プロジェクトチームの梅元建治 です。
まず、この漁協青壮年部プロジェクトチームについて説明したいと思います。長崎市茂木漁協の青壮年部は現在会員33名で活動していますが、今回の「長崎市茂木漁協青壮年部プロジェクトチーム」は、茂木の水産業をなんとかしたいと集まった漁協青壮年部を主体に、農協、商工会の青年部、漁協女性部の代表者などを加えた15名のグループで、水産業の活性化から地域の活性化を目指す活動を行っています。それでは、本題に入りたいと思います。
私達の住む長崎市茂木町は、長崎市の南部に位置し、橘湾を望む風光明媚な町です
茂木町は、豊富な魚種が多数水揚げされる港町で、これらの新鮮な海の幸を存分に味わえる料亭が点在していることから、「長崎の奥座敷」ともいわれています。また、天草にある熊本県苓北町と茂木町をつなぐフェリーが就航しており、長崎の東の玄関口としての役割も果たしています。

漁協の概況について、平成18年度は、組合員数は正准合わせて157名で、生産量353トン、生産金額約3億円という状況で、小型底曳網漁業、延縄漁業が主に営まれています。
茂木町の水産業の特徴の一つに、図に示すとおり、魚種の豊富さがあげられます。さらにもうひとつの特徴として、行商などの個人売りが盛んなことがあげられます。この行商の歴史は古く、魚市場では扱いにくい少量多品種の魚を消費者へ直接販売しています。
行商などの個人売りは、茂木町で獲れる魚の約半分を占め、茂木の漁業者にとって、重要な販売手段となっています。ところが、近年、茂木町の基幹産業である水産業は、漁獲量や漁協組合員数の減少などによって大きく縮小し、同時に町内全体も活気も失われつつありました。
そこで、個人的に交流していた漁協、農協、商工会の各青年部員達の間で、町の中央を流れる若菜川の環境を良くしたいと川の清掃活動を始めました。これをきっかけとした異業種交流を通して、将来の茂木の姿を考えながら、課題解決にむけ議論を重ね、意見を共有していきました。
そのような中、一つの問題が生じました。それは、漁業者の収入の多くを占める行商の活動が制限され、一部で行商ができなるというものでした。と同時に、行商を行う浜の母ちゃん達の人数も減少し、かつ、高齢化も進行していました。5年後には、彼女達の平均年齢もさらに上昇し、行商によって収入を得ることさえ、難しくなる恐れが出てきました。このことは、茂木の漁業の存続問題に発展してしまうと気づきました。
こうした危機感のなかで、漁協、農協、商工会の各青年部員達と、浜の母ちゃん達である漁協女性部のみんなで、課題解決に向け、「活かせるモノは活かす」すなわち、「もったいない活動」という新たな取り組みが始まりました。その中心にいたのが、この漁協青壮年部プロジェクトチームの面々でした。
このような、茂木の水産業が抱える今の課題は、皆さんの地域でも、同じように起きているのではないでしょうか。
茂木では、最大の課題である「販売額の減少」に対して、まず、新たな直売所の開設へ動き出しました。当初、漁協は、漁業者の販路を増やすために単独で直売所開設を模索していました。一方、商工会等でも状況を打破するため、直売所を作ろうとの動きがありましたが、双方とも単独で作るにはハードルが高く、解決できない問題でした。
そこで、プロジェクトチーム内で、「事業化には単独事業よりも、費用とリスクが少ない共同事業にしよう」との意見が相次ぎ、それならば、連携した直売所を作ろうとの意見で一致しました。
小規模の直売所をもっていた農協にも正式に声かけして、初めて漁協、農協、商工会による3分野が入った「もぎたて新鮮市協議会」を設立し、話し合いと勉強会を続けました。その結果、1年後の平成18年9月に直売所「もぎたて新鮮市」をオープンさせることができました。オープンした場所は、地域一体となって天草航路復活運動を続けたフェリーターミナル内で、茂木で、最も集客力がありながらも、活かされていない「もったいない」場所でもありました。
運営は、会員制による委託販売方式で、直売所のコンセプトは、生産者が自ら運営し、心を込めて「作り、育て、漁獲」したものを、直接、消費者に届けて、喜びを共有するという、「顔の見える直売所」に設定しました。また、集客のためのイベントは、プロジェクトチームが中心になり、連携することで多彩なイベントが可能となりました。
こうした実践の結果、固定客も年々増加していきました。そのおかげで、開店以来、約4千万円弱の売り上げを維持しています。また、漁業者全員の販売額も初年度の月別平均額が約60万円でしたが、現在は、月別平均額約120万円と伸び、漁業者が直売所へ出品する販売量・額も増加傾向にあります。このことは、これまでの行商等から直売所で安定的に販売できるようになった効果であると思われます。
一般には漁協、農協、商工が連携して事業を行うことは難しいとされています。しかし、茂木では、たとえ小さくても個々のコミュニケーションをはかり、時間をかけて、課題を共有してきました。この地道な努力が、直売所のコンセプトを実現させ、今の安定した販売に結びついたのだと思います。
次に、未利用魚の有効利用について取り組みました。これは、漁獲された魚介類のなかに、市場価値が低い魚とされる、ヒイラギ、イトヨリ、エソなどの小魚が投棄されている実態がプロジェクトチーム内で明らかになりました。「これを利用しない手はない。手間はかかるけど、なんとかしよう」との意見から、今回、この「もったいない」魚の有効利用に取り組みました。
最初の実践は、私の加工場で、この小魚の頭、内臓、うろことりの作業から始めました。面倒くさい作業ゆえに、従業員から不満がでましたが、「地域のために自分たちができることから始めよう」と少しずつ実践して、なんとか商品化にこぎつけました。それが、1次加工品「跳ねる」です。「跳ねる」という名前は、小魚が跳ねるように新鮮であることから、全国展開の自然食レストラン「ティア」の元岡さんに名付けてもらいました。今でも「跳ねる」は、レストラン内で活かされ、「顔の見える食材」として、消費者からも支持されています。
また、昨年、プロジェクトチームの数名は「未利用魚の有効利用」をテーマに愛媛、大分に視察研修に行きました。そこで、小魚、エイなどを含め、漁獲されるものは全て利用するという実態、漁業者の収入が多いことなどを目の当たりにし、「海の物を活かしきる」という漁業者として当たり前のことに改めて気づかされたと聞いています。
そこでの経験を生かすべく、現在は、新たな特産品を作る活動を実践しています。まずは、私が県の加工センターで「かまぼこ加工」の研修を受けました。その後、今回の商品「跳ねる」で「すり身」を作り、それを漁協女性部が作ったエソのすり身に混ぜ合わせ、さらに、茂木の規格外の野菜を加えて、茂木産のすり身揚げである「じゃこ天」を試作しました。今後は、この商品を地域の特産品として販売を行いたいと考えています。
未利用の魚を有効利用することで、漁業者には新たな収入源となること、加工業者にも地元の魚の使用比率をあげること等、双方にメリットがあります。この横断的なつながりが、小さいながらもビジネスにまで発展していく、これこそが、連携する最大の効果だと思っています。
次に、さきほど述べた「担い手不足」という課題に対して、連携した水産教室を行いました。通常の水産教室とは異なり、茂木の水産教室では、水産業の講話に農業・商工業の内容を加え、料理教室の食材には地元の旬の農水産物の他に、未利用魚や規格外の野菜等を使い、異業種連携を活かした、いわば地域ぐるみで、水産教室を行っています。
さらに、既存施設を有効活用して作った直売所、未利用魚を有効利用した取り組みなどの事例を紹介しながら、「もったいない活動」の考え方を学ぶ講話も行っています。このように、今後大切な担い手になる子供達が、自分の地域を「誇り」と、思ってもらえるように、常にプロジェクトチーム内で議論しながら、進めています。
その結果、子供達からは、「茂木で水産業が盛んなこと」、「未利用の魚が美味しいこと」、「資源を無駄にしないこと」、さらには、「これからもっともっと地元茂木町について知りたい」などの声が入った感謝文を多数もらいました。今後、プロジェクトチームでは、この活動を継続させ、少しでも多くの子供に地域産業の魅力を知ってもらい、地域に生きることの大切さを感じてもらえればと願っています。
このように3分野が連携して取り組んだことにより、見違えて、茂木の地域全体での交流が盛んになりました。また、直売所の開設以来、地域外からのお客が増えることで、茂木の交流人口が増加し、町内の消費活動が活発化し、町にも活気が戻ってきました。さらに、茂木には、3分野に加えて、地域の自治会や小中学校等と連携した地域全体でのネットワーク「茂木振興協議会」が完成しました。
小さな川掃除から始った活動が、地域内ネットワークの形成により、次第に参加者が増え、さらに、昔の海を取り戻したいとの機運も高って、EMだんごを河口へ散布しようとする地域全体の漁場環境改善運動にまで発展しました。
ちなみに、現在の成果として、以前までヘドロ化していた海岸が、ネコ貝(キサゴ)、マテ貝、アサリなども多数確認されるなど、環境改善の傾向が見られるまでになりました。
最近では、こうした取り組みを新聞やテレビ等でも紹介され、地域がクローズアップされるようになってきました。また、プロジェクトチームのメンバーは、昨年、地域内ネットワークを活用して、30年ぶりにペーロン保存会を復活させ、さらに、まちづくりの分野においても、昨年廃校となった旧長崎南商業高校の跡地利用などの活動にも積極的に関わるようになりました。
これまで茂木は、周辺地域から、活気がない、衰退しているなどと印象を持たれていましたが、地域には、「地域資源」や「人材」など「もったいない」資源がたくさん埋もれていました。
そして、これまで各分野で、独自に取り組んでいたものを、今回、異業種のみんなで連携し「もったいない活動」を実践しました。
するとそれまで、解決の糸口さえつかめなかった課題の多くは、実は単一的な課題ではなく、多くの分野にまたがったものだと気づいたのです。「課題の見え方」や埋もれた「地域資源」、「人材」に「気づいた」ことが自分たちにとって、大きな収穫となりました。
茂木に足りなかったのは、まさに、この「気づき」とそれに伴う「実践」でした。
これまでの地道な一連の実践により、「連携する」という本当の意味を地域住民が実感し、複雑かつ難解な地域課題を自分達自身で連携して解決しようとする力、すなわち、「地域の連携力」が高まったことで、周辺地域からは、茂木町が変身したように見えるのではないでしょうか。
われわれ、漁協青壮年部プロジェクトチームは地域の連携力を活かした「もったいない活動」を今後も実践してまいります。
こうした「自分たちができる小さなことの積み重ね」を行うことで、交流を促進させ、さらに地域外へも茂木の良さを「発信」し、交流の輪を広げていきたいと思います。
この積み重ねこそが、このプロジェクトチームの、次の世代と、先人達、地域内外をつなぎあわせ、海に生きる者としての「誇り」を伝えていくという使命であると確信しています。

=======================================
青年の主張大会のような言い回しでまったく恥ずかしいのですが、漁業者を取り巻く環境が厳しくなる中、少しでも誇りと自信をもって沿岸漁業に携わって頂きたいとの願いを込めて、せめて自分に出来ることとして、梅元は今回発表をお引き受けし、皆さんに共有させて頂きました。
株価の変動など明るい話題も少ない世の中ですが、長崎・茂木の海産工房 梅元でも、いろいろな取り組みを実践して、この難局をなんとか乗り切ろうとみんなで知恵と汗を出し合っています。
この秋、海産工房 梅元では、日ごろの感謝を従業員全員で取り組み、初のオープンファクトリー(工場見学会・開放日)を11月1日(土曜日)10時から14時まで開催いたします。(以前、食の学校の皆さんにも西九州大会にてご朝食を召し上がって頂きました。もってこ~い!)

工場見学と合わせて、日ごろの感謝を込めて、試食・販売も同時開催いたします。ご家族揃って是非、茂木工場へいらっしゃいませ。
ひもの好き、魚好き、茂木好き、オーガニック好きいろんな好き好きで皆さんをお待ちしていま~す!!!
こちらも梅元の小さな小さな実践です。(電話095-836-1110までお問い合わせくださいませ。)
次回のリレートークは、梅元と海のものと山のものとを物物交換させて頂いている 水俣の熱血・松本和也さんです。
和也さ~んっ!よろしくお願いしま~す!!!

トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://shokunogakkou.com/_mt/mt-tb.cgi/44




