【食コラム】木村秋則さんへのレター "木村さんが疲れるとリンゴも疲れます"
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2008年12月26日
拝啓 木村秋則さま
月並みではありますが「奇跡のリンゴ」出版おめでとうございます、というべきですね。書店で平積み本の表紙、新聞、パラパラめくる雑誌のカラーグラビアと、最近とみに木村さんの大口開いた笑顔によくお目にかかれるようになりました。相変わらず歯医者とは縁遠い様子ですが――。
こういう現象を露出度が高いというのだそうです。露出度が高くなると、多くの人に追いかけられます。人は「あの人に会ったワ」と自慢したくなるとミーハー化するようです。俗にいうミーハーさん達は、お相手の都合はお構いなし、自分の熱い気持ち優先で行動します。「有名になるとつらいわね」と木村さんの場合は、そう簡単には片付けられません。訪ねてくる人たちは一度会ってサインをもらえばラッキー、という類の人たちではないでしょう。熱ーい気持ちを持つ農業人となると当然、受けて立つ、というより共に熱く語りたいのが木村さんという人なのですから。
ここ2年、ずっとこういう状態が続いていると聞きました。なかには、アポなしで早朝4時にドアをたたく非常識な人もいるとか、あーあ。「鉄人」の存在は仮想の世界です。木村さんは生身の人間であると自己確認してください。
よく眠れていますか。もう何年も前にUFOが津軽平野に降りたそうですね。初冬の明け方、ピリッと身が引き締まる寒さの中、木村さんの後ろに現れた宇宙人が手招きしてUFOの中に連れてってくれた! 誰も信じなかった? (もちろん私もです)そうですが、今はぜひ再訪を待ちたい思いです。すこしの間でいいから、誰にも会うこともせず地球から離れてぐっすり眠ってほしいからです。
津軽平野はもう真っ白な雪化粧の頃でしょうね。
「農薬がリンゴを育てる」という常識のリンゴ産地にあって、無農薬、無施肥でリンゴ栽培を成功させた、これは奇跡だ!と人々が感動、感嘆しました。でも奇跡は「ありえないこと」ゆえに奇跡なので、誰にでもできることではないでしょう。木村さんが本当に伝えたいのは「先ず結果あり」でなくて、そこに至るまでの想いと言葉にならない程の失敗例、試行錯誤のプロセスなのではありませんか。
よく観ること
なぜ?と考えること
そして試してみること
この木村語録は万事に言いえることですね。私たちが学ぶべきは、この3行の背景にある想いと努力であって、早急な結果だけではありません。結果だけを急ぐあまりに木村さん、そして自然栽培への否定につながってしまう心配もあるのです。木村さんの目指す農業や世界のありようは奇跡頼みではないはずです。反対に、まともな食べものが、特別だったり、奇跡的な存在になってしまう不幸を思わずにはいられません。
たくさんの能書きや、栽培歴や、細かな表示など要らない。まともでふつうの食べものが、ふつうに食べられる、あたりまえの暮らしをとり戻したい。そのためにも、木村さんは元気で大口開いて笑いながら伝え続けてほしいのです。
たまにはわがままを通して「ノーといえる木村」になってください。それでも食の学校の皆は木村さんの応援団であることに変りはありません。
フレー、フレー、キムラ!!
敬具

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